2011.03.10 19:19 更新
芳しき分身の術/湯の宮座論梅(新富町・宮崎県)
一見では、何の変哲もない梅林。しかしよく見ると、木の形が少し変...。宮崎県・新富町の「湯の宮座論梅」は、1本の梅から新しい株が次々に分かれて林を成した、世にも珍しい銘木である。
①元木の枝が、横を指して地面すれすれに伸びる。
②枝が接地して、そこから根を伸ばすようになる。
③やがて、親木と新株を結ぶ幹が朽ち果て、互いに単独の木として成長する。
④新株からも横を指して枝が伸び、②③を繰り返す。
この営みを600年も続けた末、今では80本の一族が咲き誇る立派な梅林となったのである。「座論」の名は、かつて梅林を巡る所領争いが起き、この地で話し合いがもたれたためと伝えられている。
日向の春は早い。2月に入るとうららかな日差しの下、座論梅が純白の可憐な花を咲かせる。水面に漂う流木を思わせる奇木と、香気豊かな麗花のコラボが実に面白い。この1年、不幸な厄災が続いた宮崎ではあるが、悠久の時を生きる銘木のごとく、たくましく蘇るものと信じている。
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(写真上)南国・宮崎に春の訪れを告げる座論梅の開花。真横を向いた幹が特徴
(写真下)花の見ごろには梅祭りが開かれる。スケッチを楽しむ人々の姿も