2009.11.03 15:11 更新
美しき黄泉の国/恐山(青森県)
"三途の川"と名付けられた橋を渡ると、そこはもう黄泉の世界――青森県の最北端・恐山は、高野山・比叡山と並ぶ日本三霊場の一つである。
大変おどろおどろしい名称だが、実のところここは、火山のカルデラだ。荒涼とした風景が死後の世界を思わせるので、このように呼ばれるのだろう。開祖は、平安時代の高僧・慈覚大師円仁。以来1100年の長きにわたり、聖地としてあがめられている。
「明日から冬季の閉山」というある年の最終日、この地に足を踏み入れた。ゴツゴツした岩山と、そこかしこで湯と煙を吐き出す噴気口が続く眺めは、ちょっとこの世のものとは思えない。しかし、周りの山々には陸奥の紅葉が美しい錦を織り成し、コントラストの見事さには感嘆させられた。
あの世を巡った後は、境内の温泉へ。板張りの粗末な小屋の中に、白濁した源泉がこんこんと湧いている。板敷きの洗い場と風呂は青森特産のヒバづくりで、南国からの旅人には最高のもてなしだった。
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(写真)晩秋の恐山。荒涼とした火山地形と紅葉の対比が、極上の風景美を呈している