2009.02.20 00:29 更新
氷雪のご来光/はわい温泉郷②(鳥取県)
はわい温泉郷は、東郷湖に突き出た小さな半島の上に広がっている。湖畔に立地する宿は、その眺望が売り物だ。朝は対岸に日の出を拝めるので、早起きの客が次々露天風呂に繰り出してゆく。
銀世界にはしゃいで温泉街を駆け回ったが、凍りついた湖を眺めるうち、興奮も冷めて寒さが辛くなってきた。こんな時こそ温泉に限る。首をすくめ、雪上の足跡を辿りながら元の旅館へ。投宿した「彩香」は湖に面して風呂があるので、美景を堪能するには格好である。
温泉に飛び込んで湖の彼方に目をやると、山の際がパッと輝いて朝日が覗いてきた。すかさず携帯を向けるが、近くに延びる釣り桟橋がいささか邪魔だ。しばし迷ったが、濡れた体に浴衣をまとい、宿の勝手口から飛び出した。「ええいっ! どけっ!」――足元を阻む分厚い雪を蹴散らしながら、桟橋の突端へ一目散に駆けてゆく。突き刺さるような冷たさを気合で封じ、次第に高くなる太陽めがけシャッターを切り続けた。
ようやく気が済んで戻ろうとするが、足は既に感覚が無い。ほうほうの体で風呂場にたどり着き、凍りかけた身を湯で溶かす。昔読んだ「八甲田山死の彷徨」を思い出し、暖のありがたさを噛み締めつつご来光に手を合わせた。
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(写真上) 東郷湖の対岸に望む日の出
(写真下) 大雪が明けた湖は凍り付いていた。露天風呂からの眺めは格別の趣