2008.11.20 02:10 更新
文豪康成、世界へ羽ばたく/雪国の宿「高半」(越後湯沢・新潟県)
「国境の長いトンネルを抜けると、雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。向かい側の座席から娘が立ってきて...」――川端康成の名作「雪国」。執筆の舞台が、越後湯沢の「高半ホテル」だ。館内には彼が滞在した「かすみの間」が、資料とともに保存・公開されている。
「雪国」は康成の体験を基に描かれ、情景や登場人物の心のきめ細かい描写で高い評価を受けてきた。数々の名作を世に送り文壇の重鎮となった康成は、晩年にノーベル文学賞を受賞、しかし数年を置かず、自ら命を絶つことになる――。
高台の宿からは湯沢の町が一望でき、新緑の初夏もいいが、やはり冬景色がいい。雪見酒を気取りながら部屋で味わう料理は格別で、旅の良さを改めて感じさせてくれた。
高半はロケーションも料理も良かったが、一番のもてなしは源泉43℃、完全掛け流しの温泉「たまごの湯」だった。熱すぎず、ぬる過ぎずの加減は最高で、夜中に目が覚めて湯に遊んでいたら、そのまま夜が明けたのも愉快な思い出だ。
鹿児島も温泉の宝庫だが、「どこの湯が良かったか?」と問われれば、私は迷わず『高半』の名を挙げる。新潟は遥か彼方だが、いつかまた訪れたい...。 yu
(写真上)高半ホテルの玄関と、川端康成が滞在した「かすみの間」
(写真下)館内には康成に関する資料も展示され、客室からは越後湯沢の町並みが一望できる。